中尾研について
ごあいさつ
心臓は毎日10万回、一生で30億回も休まずに拍動し続けます。この心拍動はペースメーカ組織である心臓刺激伝導系によって規則的に生み出された電気信号が適切に心臓内に伝わるという精密な制御の上に成り立っています。一方、心臓刺激伝導系の機能に異常をきたすと、心拍数が著しく増加・減少したり、または不規則になる不整脈が引き起こされ、めまいや失神など生活の質の低下をまねく病的な状態に陥ります。東海大学医学部・応用分子生理学研究室では、この心臓刺激伝導系にフォーカスして、心拍動の調節メカニズムの解明と不整脈に対する新たな治療法の開発を研究目標に掲げており、動物・ヒトの個体・臓器レベルのマクロな現象から細胞・遺伝子・分子レベルのミクロな現象まで広くカバーする多角的なアプローチによって基礎医学研究を推進しています。
心臓刺激伝導系は心臓の中でも特殊な機能と分布を示すことから、その解析には高度な専門知識と研究技術を要します。そのため、心臓刺激伝導系による心拍制御メカニズムとその異常による不整脈のなりたちについては不明な点が多く残されています。当研究室では、この心臓刺激伝導系の機能および形態解析を国内外の研究者との共同体制で進めています。研究室主宰者の中尾周は獣医学のバックグラウンドを活かした疾患モデル動物の作製、病態生理学的解析、組織形態学的解析だけでなく、細胞培養技術、遺伝子およびタンパク質発現制御技術、遺伝子改変および編集技術、バイオインフォマティクス解析法などを取り入れて、心拍制御メカニズムの解明に取り組んでおり、その成果を新たな治療法の開発に結び付けることを目指しています。
応用分子生理学研究室では、お互いに尊敬・感謝し合うをモットーに、研究活動の中で主体性、論理的思考、問題解決能力の向上を目指しています。また、専門的な知識や実験技術の習得だけでなく、社会人に必要なコミュニケーション能力やマナーを身に付けることで、人間的な魅力・個性を磨き、社会に羽ばたける人材の育成を目標に掲げています。こうした能力は、全員参加でのラボミーティングやジャーナルクラブ、研究テーマごとの研究プログレスミーティング、あるいは日々のコミュニケーションの中で身に付けていきます。研究成果がまとまれば、希望者には国内外での学会発表の機会が与えられます。国内学会には日本生理学会、日本循環器学会、日本心血管協会、日本獣医循環器学会など、国際学会にはPhysiological Society、International Society of Cadiovascular Pharmacotherapy、Heart Rhythm Societyなどで発表歴があります。また、キャリア相談や奨学金申請などでもサポート体制をとっています。
応用分子生理学研究室
中尾 周
自己紹介
中尾 周
出身:神奈川県
学歴:
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東京農工大学農学部獣医学科卒
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岐阜大学大学院連合獣医学研究科修了・博士(獣医学)
職歴:
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2005年 臨床獣医師(動物病院勤務)
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2006年 東京農工大学農学部附属動物医療センター・循環器科研修医
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2012年 国立循環器病研究センター研究所・分子生理部・博士研究員
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2015年 英国マンチェスター大学・心血管科学研究所・リサーチフェロー
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2017年 立命館大学生命科学部・助教
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2021年 立命館大学生命科学部・講師
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2023年 東海大学医学部医学科・特任准教授
専門分野:
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心臓生理学、再生医学、病理組織学、臨床獣医学
所属学会:
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日本生理学会(評議員)、日本獣医循環器学会(評議員)、Physiological Society(英国)、日本心血管協会、日本循環器学会、日本獣医学会(分科会:日本実験動物医学会)
趣味:
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マラソン、ロードバイク(自転車)、トレッキング、バードウォッチング