top of page

​研究内容

【不整脈の分子メカニズムの解明】

不整脈がなぜ起こるのかという病気のメカニズムを明らかにして、その中で治療ターゲットとなる分子(たんぱく質やマイクロRNAなど)を見つけ出そうとする研究です。これまでに、アスリートに発生する徐脈(心拍数の重度低下や房室ブロック)において、ある種のマイクロRNAが心臓イオンチャネルたんぱく質の量と機能を低下させ、これが不整脈の原因となっていることを見出してきました。ただし、運動によってさまざまな変化(血流、ホルモン、神経活動など)が全身や心臓に起こりますが、そのどれが房室結節に直接影響を与えたのかまだ分かっていません。今後は心臓内の電気伝導に影響を与える運動で生じる刺激を特定し、新たな治療標的をさらに見出していこうと研究を継続しています。また、さまざまな不整脈モデルについても、最新の解析技術を取り入れながら病態解明を目出しています。

SAN-APs_edited.jpg

【心臓刺激伝導系の形態解析】

心臓刺激伝導系はポンプを動かすための発電機と電気配線にたとえることができます。心臓刺激伝導系の最上流の「洞房結節」は心筋を収縮させる電気信号を生み出し、その頻度が心拍数を決めています。次に「房室結節」では電気信号がゆっくり伝導することで心房と心室の収縮に時間差を生み出します。さらに、心室の内面に広がる「プルキンエ線維網」を介してその信号を心室筋全体に一気に伝えることでに血液を送り出す強い力を生み出しています。このように心臓刺激伝導系は心房と心室を交互に収縮させる効率的なポンプ運動を精密に制御するのに最適な心臓内分布をしていますが、その位置関係が障害されると不整脈の発生につながります。このような心拍信号の生成と伝達に最適化された心臓刺激伝導系の分布やペースメーカ細胞の構造の全貌は明らかにされていません。私たちは近年飛躍的に技術が進む画像解析技術によって心臓刺激伝導系とその構成細胞の形態的特徴を見出していきます。当研究室では、マイクロCTスキャンや連続表面走査型電子顕微鏡、共焦点レーザー走査顕微鏡など各種イメージング装置を駆使しています。

iPMtherapy.JPG

【不整脈に対する新たな再生医療の開発】

心臓ペースメーカ細胞を人工的に作り出す方法の研究で、不整脈に対する新たな再生医療の開発を目標にしています。この研究の達成には、心臓ペースメーカ細胞とは何なのか、どのような性質を持つのか、などペースメーカ細胞だけがもつ特徴を深く突き詰めることが必要です。わたしたちは、心房や心室を構成する作業心筋細胞とペースメーカ細胞が異なる性質や、受精卵という一つの細胞から心臓が作られていく過程で心臓ペースメーカ細胞を特徴づける仕組みを明らかにすることを目指しながら、その中で見つかってきたたんぱく質や遺伝子のはたらきを利用して、心臓の筋細胞や別種の細胞にペースメーカ機能を持たせる方法の確立に取り組んでいます。

SAN.JPG
bottom of page